金沢城

現在、金沢城のメインゲートとして使われている石川門は、実は江戸時代は裏門（搦手門、からめてもん）として使用されていました。
大火を経た1788年に再建され、その姿は今も時を超え現存し、私たちを迎えてくれています。

河北門（かほくもん）は、金沢城の大手門（おおてもん）から入り、新丸（しんまる）を抜け、坂をあがり、三の丸へ入る正面に位置し、金沢城の実質的な正門として利用されていました。
「石川門（いしかわもん）」、「橋爪門（はしづめもん）」、そしてこの「河北門」は「金沢城三御門（かなざわじょうさんごもん）」と呼ばれています。

現存する三十間長屋（さんじっけんながや）は幕末の1858年に再建されました。 入口正面から見て左端（南）の屋根は入母屋造り（いりもやづくり）、右端（北）の屋根は切妻造り（きりづまづくり）という造りになっており、実は屋根の形が左右で違っています。
屋根には石川門と同じ鉛瓦（なまりがわら）が使われています。令和５年度に修繕を行い、鉛瓦の張替えを行いました。

幕末の1848年に建てられました。石川門や三十間長屋とともに城内に残る藩政期（はんせいき）の貴重な建物の一つで、国の重要文化財に指定されています。
江戸時代は、城内の武具を入れる倉庫として使用され、明治以降は、陸軍が使用し、被服庫（ひふくこ）として使われました。

辰巳櫓（たつみやぐら）はかつて天守があった場所から見て南東（辰巳）の方角にあります。
城内で最も高い場所にあり、城下町から仰ぎ見ると、とても目立つ建物でした。
櫓は1759年の大火で被災し、その後、再建されることはありませんでした。
現在は、兼六園や金沢21世紀美術館などの金沢の名所や、霊峰白山が望めるビュースポットとなっています。

金沢城の天守は前田利家が入場した後の1586年頃にここ本丸に建てられましたが、1602年に落雷で焼失しました。
本丸は戦後、金沢城が金沢大学の敷地だった時に、理学部の植物園として利用されていたこともあり、多くの樹木が現在も残されています。

「玉泉院（ぎょくせんいん）」とは、織田信長の娘で、2代藩主利長（としなが）の正室の名です。利長の死後、玉泉院が屋敷をここに構えたことから、この場所を「玉泉院丸（ぎょくせんいんまる）」と呼ぶようになりました。
玉泉院丸庭園は3代藩主利常（としつね）が本格的に庭づくりを始め、その後も歴代藩主によって手を加えながら、廃藩時まで存在していました。
2015年に江戸時代末期の姿をもとに再現され、高低差を利用した奥行感のある立体的な構造や、色紙短冊積み石垣（しきしたんざくづみいしがき）などの意匠性（いしょうせい）の高い石垣群がこの庭園の特徴です。

明治に入ると、金沢城内には陸軍の第九師団（だいきゅうしだん）が入り、1898年には二の丸御殿跡に第九師団司令部庁舎が建てられました。（二の丸御殿は1881年の火事により焼失しています）
この旧第六旅団司令部（きゅうだいろくりょだんしれいぶ）は1898年に第九師団関連の建物として建てられました。
戦後、金沢大学の敷地だった際は大学教育開放センターとして利用されていました。
この旧第六旅団司令部は江戸時代の建物ではありませんが、金沢の歴史を語る上で貴重な建物です。
なお、二の丸御殿跡に建てられた第九師団司令部庁舎は、金沢大学時代に大学の本部として利用された後、昭和43年に移築され、現在は国立工芸館として利用されています。

石川門から三の丸広場に入り、正面から見て右端が菱櫓（ひしやぐら）、左端が橋爪門続櫓（はしづめもんつづきやぐら）、中央が五十間長屋（ごじっけんながや）です。
これらの建物は、戦いの際に二の丸を守るための建物です。
菱櫓は大手門と石川門を見張るための櫓、橋爪門続櫓は二の丸御殿への入口である橋爪門を見張るための櫓でした。五十間長屋は武器などの倉庫として利用されていました。
360度城内を見渡すことができる櫓を築くことで、強固な守りを固め、戦に備えていました。

橋爪門（はしづめもん）は二の丸御殿へ向かう最後の門として、通行には一番厳しい制限がかけられていました。
河北門を抜け、橋を渡り、橋爪門一の門をくぐると、四方を囲まれた桝形（ますがた）がまず一つ、橋爪門二の門をくぐると、番所と石垣で囲まれた桝形がまたもう一つあり、往時は桝形２つで構成されていました。
二の丸御殿へは二の門の先にある雁木坂（がんきざか）を登って、やっとたどり着きます。

鼠多門（ねずみたもん）は隠居した藩主が住む金谷出丸（かなやでまる、現在の尾山神社）と玉泉院丸（ぎょくせんいんまる）をつなぐ門として使用されていました。
城内の他の建物と同じく、屋根は鉛瓦（なまりがわら）で、壁は海鼠壁（なまこかべ）ですが、海鼠壁の瓦の目地は白漆喰（しろしっくい）ではなく、黒漆喰が使われています。

江戸時代、城の正門（＝大手門）だったのがこの尾坂門です。「大手」とは城の正門のことを意味します。
尾坂門には江戸初期の石垣が現在でも残されており、鏡石（かがみいし）と呼ばれる大型の見栄えのする石が積まれています。金沢城の正門として立派な風格のある石垣を築いたものと考えられます。