原城
エリア:九州・沖縄
住所:長崎県南島原市南有馬町
原城は中世末から近世初頭にかけて肥前日野江藩主であった有馬晴信が築いた城です。有馬氏の本城であった日野江城の支城として築かれました。宣教師の報告などから、本丸は慶長九年(1604)に完成した事が判っています。
本丸は総石垣造りで、近世初頭の城郭の特徴を持っています。一方、二ノ丸や三ノ丸など他の曲輪(くるわ)は土造りの構造で、中世の名残りがみられます。
慶長十七年(1612)に晴信が失脚し、元和二年(1616)には松倉重政が入城しますが、同四年(1618)に島原城築城に着手したため、一国一城令により原城と日野江城は廃城となりました。
寛永十四年から翌年(1637~1638)に起こった島原・天草一揆では、廃城となっていた原城が一揆勢の籠城の拠点となりました。立て籠もった一揆勢は37,000人といわれ、その多くが犠牲となりました。以後この地で信仰を続けることが困難となったキリシタンは、平戸、長崎の外海(そとめ)地方、あるいは天草の﨑津などへ移り、江戸時代を通じた長期の潜伏を余儀なくされました。
VRでは絵図や原城に残る遺構で手掛かりが得られるものについて、築城時や一揆当時のイメージを再現しました。VRと見比べる事により、現在の原城の姿が持つ歴史的意義を、より強く感じて頂けると幸いです。
昭和13年5月30日 国史跡指定
平成30年7月 4日 世界文化遺産登録
(「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」)
史跡・周辺情報
島原・天草一揆供養碑
原城跡近くの八幡神社境内にある供養碑で、島原・天草一揆終結より10年後の慶安元年(1648)、天草の代官であった鈴木重成によって建てられたものです。
「鈴木重成建立供養碑」とも呼ばれています。
一揆後の荒廃した原城を嘆き悲しみ、首塚と思われる付近に供養碑を建て死者の霊をなぐさめ、また、この地の息災と五穀豊穣を祈願したと伝えられます。
碑文は、キリシタンを「鬼理支丹」として「鬼」の字を当て、あるいは益田四郎(天草四郎)が民衆をたぶらかしてキリスト教への改宗を勧めてまわったなどの表現があり、当時の一揆に対する認識がよくうかがえます。
大手口跡
大手口とは、城全体の出入口にあたる部分で「原城の表玄関」です。
現在その姿を見ることはできませんが、本来の出入り口の形状は、城内にいったん進入した後に直角に折れ曲がる内枡形虎口(うちますがたこぐち)と呼ばれるものでした。
有馬氏の本城であった北方の日野江城に向いていることから、日上口、樋上口などの字をあて、「ひのえぐち」とも呼ばれていました。
島原・天草一揆の際は約3500人が三ノ丸とともに守備したところで、一揆後にこの出入口には多くの一揆軍の首がさらされていたといわれています。
板倉重昌碑
板倉重昌は、島原・天草一揆が起こった際、幕府の上使として派遣された人物で、幕府方連合軍の総大将を務めました。
寛永14年(1637)12月、2度の総攻撃を仕掛けましたが、失敗に終わり、翌年元日に3度目の総攻撃をかけ、この戦闘によって銃弾の直撃を受けて戦死しました。
碑は延宝9年(1681)に孫である重道の依頼によって製作されましたが、この時は建立が許可されず、寛政10年(1798)、子孫の板倉八衛門勝彪らによって建立されました。
甬道跡
甬道とはトンネルのことで、一揆の際に幕府軍は原城攻撃のため、日向(宮崎県)より金堀坑夫を呼び寄せ、甬道を掘らせ城内へ攻め入ろうとしました。
これを察知した一揆勢は迎撃用の穴を掘り、生松葉をいぶし糞尿を注ぐなどして応戦し、この計画を失敗に終わらせました。
この甬道の入り口跡が北三ノ丸方面の浅間神社近くに残っています。
原城温泉真砂
美しい雲仙の山並みや有明海に広がる天草島の山並みが一望できる大浴場を備え、サウナ・打たせ湯などのほか、休憩室・研修室などの設備も充実しています。
3階建ての宿泊棟には、客室14室、定員50名宿泊可能で、全客室からは、大浴場同様の美しい景色が一望できます。
レストランはる乃はテーブル席、お座敷があり、新鮮な食材を吟味した四季折々の料理が楽しめます。
売店(じげもん市)は、南島原の特産品をはじめ地元農家の新鮮野菜や果物などを販売しています。
電話 | 0957-85-3155 |
料金 | 入浴料金 大人 500円 小・中学生 200円 小学生未満無料 |
休み | 年中無休 |
駐車場 | 有り |
URL | http://www.harajoumasago.jp |
有馬キリシタン遺産記念館
原城跡が構成資産の一つである世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のガイダンス施設です。
南島原におけるキリスト教の伝来から繁栄の時代を示す「日野江城跡」、そして2世紀を超える海禁体制(鎖国)を確立するきっかけとなった「島原・天草一揆」の舞台となった原城跡など、キリシタンの歴史を、分かりやすく解説しています。
原城跡・日野江城跡の現地を訪れる前に記念館へお立ち寄りください。両史跡の価値をより理解することができます。
電話 | 0957-85-3217 |
料金 | 一般300円 高校生200円 小・中学生150円 (身体障害者手帳等の所持者・団体割引あり) |
開館時間 | 9:00~18:00 |
休み | 毎週木曜日 年末年始12月29日~1月3日 |
駐車場 | 乗用車4台 / 身障者用1台 ※満車時、大型バスは隣接駐車場160台をご利用ください。 |
URL | http://www.city.minamishimabara.lg.jp/sekaiisan |
西望公園・記念館
長崎平和祈念像を手掛けた彫刻家 北村西望の生誕の地に造られた記念公園です。
約5000㎡の園内には長崎平和祈念像(原型の1/4)など13点の作品が屋外展示さています。
生家を復元した記念館の館内には彫刻をはじめ、書や絵画など60点が展示されており、西望芸術を堪能できる施設になっています。
また、公園敷地内の有明海を見下ろす展望所からは原城跡を望むことができます。
電話 | 0957-85-2922 |
料金 | 一般200円 高校生150円 小・中学生100円 ※団体割引あり |
開館時間 | 9:00~17:00 |
休み | 毎週木曜日 年末年始12月29日~1月3日 |
駐車場 | 14台 |
谷水棚田
南有馬町白木野地区では、狭い耕地を有効に利用するため石垣を築き水田耕作が行われています。
春は馬鈴薯、夏から秋にかけては水稲と四季折々の姿を見ることができます。
この谷水棚田は第5回美しい日本のむらコンテストで農林水産大臣賞を受賞し、平成11年には農林水産省「日本の棚田百選」にも認定された美しい棚田です。
また谷水棚田は、原城跡や有明海を望むことができる絶景スポットでもあります。
日野江城跡(国指定史跡)
肥前有馬氏代々の居城とされる城跡です。
築城時期については、鎌倉期、南北朝期など諸説あります。
元和元年(1615)の一国一城令を受けて森岳城(島原城)が築城されることになり、日野江城は廃城となりました。
発掘調査において、破壊された仏塔を使用した階段遺構や切石技術を使った独創的な石垣、金箔瓦や、南蛮貿易の足跡が確認できる陶磁器などが数多く出土しています。
1590年イエズス会の日本年報において、宣教師ルイス・フロイスは次のように書き記しています。
「この建物の美しさ雅やかなたたずまいを一同は気に入った。大小の部屋はすべて黄金の品や典雅で華麗な絵画が飾られていた。
この屋敷は最近、有馬晴信の手で建てられ、見事な出来栄えとなった城郭の中にある。その城郭を見たポルトガル人たちは、日本にこれほどの壮麗な建造物があるなど考えてもみなかった。」
駐車場 | 有り |
URL | https://www.city.minamishimabara.lg.jp/sekaiisan |
日野江城跡 階段遺構
日野江城跡東側の大手川付近から城内へ、まっすぐに続く階段の遺構の一部が発見されました。
長さ約80mに及び、その直線的な構造は安土城に似ているといわれています。
階段の北側には五輪塔や宝篋印塔などの仏塔が使われた階段が発見されました。
領内のキリシタン全盛期と神社仏閣を破壊した歴史を物語っています。
また、仏塔を使った階段を上った場所から、金箔を張られた瓦が1枚出土しました。
金箔瓦は、時の為政者、豊臣秀吉が親族か身近な大名にしか使用を許されていないものでした。
※現在、写真の階段遺構は、保存のために埋め戻されています。
有馬のセミナリヨ跡推定地
1500年代後半、キリシタン大名である有馬晴信の時代に修道者育成の基礎知識を学ぶ初等教育機関(現在の小中学校のような機関)「セミナリヨ」が有馬と安土に創設されました。
開校当初は12~18歳の生徒22名でしたが、最大時は130人もの少年たちが、ラテン語、ポルトガル語、日本語や古典などを学んでいました。
また、この有馬のセミナリヨの第一期生である4少年(伊藤マンショ、千々石ミゲル、原マルチノ、中浦ジュリアン)が、天正10年(1582)、日本最初のヨーロッパ使節団「天正遣欧少年使節」として派遣されました。
有馬川殉教地記念碑
日野江城下を流れる有馬川のほとり(南島原市北有馬支所前)では1613年10月7日、有馬直純に対して棄教を拒んだ3人の重臣とその家族8名が火刑によって殉教しました。
その様子は2万人もの信徒が見守る中の殉教であったとされています。
2008年11月、日本で初めての列福式が長崎市で開催され、福者となりました。
駐車場 | 南島原市役所北有馬支所駐車場を利用 |
龍石海岸(島原半島ジオパーク)
島原半島の中央にそびえる雲仙火山は、およそ500万年前から活動をはじめました。龍石海岸では雲仙火山が最初に噴出してできたとされる50万年前の地層が観察できます。
島原半島ジオパーク:島原半島の中心には、日本の中でも有数の活火山である雲仙岳がそびえています。
そこに住む人々は、昔から繰り返し起きていた火山の噴火と共存し、自然からの恵みを生活の中に活かしてきたことが特徴です。このことを評価され世界ジオパークに認定されています。
電話 | 0957-65-5540 |
吉利支丹墓碑(国指定史跡)
国内202基のキリシタン墓碑のうち、114基が南島原市内に点在します。
有馬地方に広がったキリスト教の精神を示す物証であり、キリスト教文化が埋葬の風習にまで影響を与えていたことを証明しています。
西有家町須川にあるこの吉利支丹墓碑は、均整がとれた美しい半円柱形で、花十字紋が刻まれています。
昭和4年(1929)に土の中から発見され、昭和34年(1959年)に国指定史跡になりました。
大野木場砂防みらい館
平成3年9月15日の雲仙普賢岳大規模火砕流で被災した旧大野木場小学校の横に併設され、噴火災害の脅威や復興対策・火山活動のしくみ等を学ぶことができます。
被害状況も見ることができます。
電話 | 0957-72-2499 |
料金 | 無料 |
開館時間 | 9:00~16:30 |
休み | 年末年始12月29日~1月3日 |
駐車場 | 有り(大型バスも可) |
口之津歴史民俗資料館・海の資料館
明治11年(1878)に開設した長崎税関口之津支庁が、明治32年(1899)に建てかえられ、その後国より払下げを受けて昭和56年(1981)に口之津歴史民俗資料館として開館しました。
明治洋風建築で、長崎県の有形文化財に指定されています。
今から約450年前、キリスト教が伝来した地、世界の貿易港として繁栄した地、日本一船員が多い街として賑わいをみせた、海と口之津港の歴史を示す資料を多数展示しています。
電話 | 0957-72-6773 |
料金 | 一般200円 高校生150円 小中学生100円 ※団体割引あり |
開館時間 | 9:00~17:00 |
休み | 月曜日 年末年始12月29日~1月3日 |
駐車場 | 20台 |
南蛮船来航の地
口之津港は、永禄5年(1562)、有馬義直(のちの義貞)によりポルトガル船の寄港地として許され、貿易港として開かれ、永禄10年(1567)ベイガ船長率いるポルトガル船3隻が最初に入港しました。
天正7年(1579)イエズス会巡察師ヴァリニャーノにより、全国宣教師会議が口之津で開催されるなど、日本におけるキリスト教布教の拠点地として栄えました。
1567年から1582年までにポルトガル船が5回入港しています。
現在は、港近くに「南蛮船来航の地」として記念碑が設置され、昭和16年(1941)に長崎県の指定史跡となっています。
また平成24年(2012)、口之津開港450年を記念して口之津港緑地公園にはヴァリャーノの胸像が建立されました。
イルカウォッチング
島原半島と天草の間の海域には約300頭の野生のイルカが生息しており、その観測率はなんと99%。
太陽に照らされ、きらきらと光る海面をイルカが飛び回る姿はまさにイルカの楽園に迷い込んだようです。
イルカをすぐ間近で見ることができるので、今までに感じたことがないワクワク感と癒しで、子どもから大人まで大人気のクルーズです。
料金 | [共通] 大人(中学生以上)2,500円 小学生1,500円 幼児1,000円 ※幼児設定は各社要確認 |
休み | 悪天候運休 |
メモ | 原城遊漁船組合(原城温泉真砂) 0957-85-3155 口之津観光船企業組合 0957-86-4433 かづさイルカウォッチング 0957-87-4640 所要時間:60~90分 |
道の駅 みずなし本陣ふかえ
道の駅 みずなし本陣ふかえは、雲仙普賢岳噴火による土石流災害の爪跡を保存した「土石流被災家屋保存公園」に隣接した道の駅です。
施設内には、この自然の脅威と雲仙普賢岳災害について学ぶことができる大火砕流体験館、地元の新鮮素材でおもてなしするお食事処、島原半島の特産品が数多く揃ったお土産など、飲食・物販・体験等が充実しています。
普賢岳のふもとに位置していて、日本で一番新しい山「平成新山」を一望することができ、家族連れや修学旅行生など多くの観光客で賑わっています。
電話 | 0957-72-7222 |
開館時間 | 8:30~17:00 |
休み | 年中無休 |
駐車場 | 乗用車177台 バス22台 |
URL | http://www.mizunashi-honjin.co.jp |
エコ・パーク論所原
エコ・パーク論所原は、雲仙国立公園内の南島原市北有馬町論所原にあります。
敷地内には、ケビン5棟、オートキャンプサイト25区画があり、人気の乗馬や動物へのえさやり体験のほか、季節に応じた様々な体験ができる自然・宿泊体験施設です。
またカフェレストランや農産品の販売も行っており、子どもから大人まで自然と動物に触れ合えることができます。
電話 | 0957-65-7056 |
開館時間 | 8:00~17:00 |
休み | 年末年始 12月29日~1月3日 |
駐車場 | 有り |
URL | http://www.sfhcosmos.wixsite.com |