甲府城と城下町

山梨中央銀行の創立50周年記念事業の一環として、平成4年（1992）に開館した金融資料館。
山梨中央銀行の歩みを中とする歴史資料と古代から現代までの貨幣類を展示する。
日本で最も古い預金通帳が見られるほか、千両箱や50両の切り餅の重さを体験できるコーナーもあり、ファミリーで訪れても楽しめる。

全国を行脚していた木喰上人（もくじきしょうにん）が91歳の時に訪れ、この寺で最後の作といわれる七観音を造立。
残念ながら七観音は空襲で焼失している。
明和２年（1765）に大商人・亀屋与兵衛が境内に仮小屋を建て、浄瑠璃芝居の興行を行った。
これが江戸時代の芝居小屋「亀屋座」の前身といわれる。
五代目・市川団十郎の甲府での初興行も教安寺で行われた。

天正１０年（1582）に創業した「甲州印伝」の総本家・印傳屋本店２階に併設された博物館。
「甲州印伝」とは、400年以上昔から甲州に伝承されてきた鹿革に漆で模様付けする伝統工芸。
門外不出の技法で作られた印伝作品を中心に、関連する道具や絵画・書物などの資料約150点を収蔵している。

根津嘉一郎、雨宮敬二郎とともに甲府財閥と呼ばれたグループの一人・若尾逸平が開業。
若尾逸平は初代甲府市長も務めている。
若尾銀行は現在のNTT東日本・山梨支店の場所にあり、明治38年（1905）に新築された石造りの建物は、2年の歳月と経費5万円をかけた豪壮なものだった。

NTT東日本・山梨支店と城東通りを挟んで向かい側に黒御影石の石碑が建つ。
この地にあった書店・温古堂から、明治5年（1872）に「峡中（こうちゅう）新聞」が創刊された。
その後、「甲府新聞」、「甲府日日新聞」と改称。
明治14年（1881）から「山梨日日新聞」と名称を変更して日刊新聞となり、現在まで続いている。

高札場とは幕府や領主が決めた法度（法令）を木の札に記して掲示した場所。
江戸時代、魚町と八日町が交差する場所に高札場があった。現在の城東通りの中央交差点になる。
角には甲府の町年寄を代々務めた坂田家があり、「府中一のよき所」といわれるほど賑やかで甲府城下の中心地だった。

かつての甲州街道であったメインストリートの城東通りは、金手と善光寺のところでクランク（鈎の手）状に曲がっている。
これは城下町特有の構造で、城への見通しを悪くして敵からの攻撃を防ぐ、防御の役目を果たしていた。
不思議な屈折をした道路にも城下町だったころの名残りが残されている。

JR甲府駅南口前にある信玄公の座像。
昭和44年（1969）4月12日（信玄公の命日）に完成。
川中島の戦いの陣中の姿を象ったもので、右手に軍配、左手に数珠をもっている。
台座も含めた像の高さは6.2ｍ、重さは５tもある。
かつては駅前の噴水南側にあったが、駅前広場の整備に伴い現在地に移設された。

明治時代初期に現在の甲斐市亀沢（旧睦沢村）に睦沢学校として建設された校舎。
戦後まで学校の校舎として利用されていたが、老朽化により武田神社境内に移築復元。
その後、現在地のJR甲府駅北側に移された。
文明開化の施策に取り組んだ初代山梨県知事・藤村紫朗が奨励した「藤村式建築」と呼ばれる擬洋風建築で国の重要文化財。
市民や観光客の交流ガイダンス施設として利用されている。

甲府城築城の際に、浅野長政の命により築かれた上水道。
甲府城下の水は鉄分が多く飲料に不向きだったため、相川と荒川から取水し甲府の町へ水を引き入れた。
舞鶴小学校の東側に名残りの水路跡が残る。
この上水は農業用水も兼ねていたため、明治になって新上水路が建設されるまで、城下は慢性的な水不足だった。

甲府城の武家地を囲んでいたのが二の堀。
明治になって堀の多くは埋め立てられてしまったが、ところどころに小さな川や暗渠となった二の堀跡を発見できる。
この堀から三の堀までの地域が町人たちの郭外で、武家地とは明確に区分けされていた。

甲斐一国が幕府の直轄領となった享保9年（1724）に、甲府代官所が置かれたところ。
代官所は長禅寺前にあったことから長禅寺前陣屋（長禅寺前役所）とも呼ばれた。
慶応4年（1868）に廃止されるまでに29人の代官が在任している。
旧富士川小学校（廃校）の敷地が甲府代官所跡にあたる。

寛政8年（1796）に甲府勤番士とその子弟を教育する目的で、甲府城郭内に創設された学問所。
その後、追手門南側に移築し、徽典館と名付けられてからは庶民にも開放されている。
現在の山梨大学の前身で、明治になり中央公園の場所に移転。この地に碑が建てられた。

江戸時代に上質の水晶が採掘されていたことが、山梨県の宝飾産業の始まり。
現在ではジュエリーに関するあらゆる業務が集中する世界的にも珍しい地域となっている。
様々な企画展示のほか、伝統の技術や加工生産の歴史を紹介し、地場産業である宝飾産業を広くアピールする施設。
ジュエリー制作の実演工房や体験工房もある。

昭和の香り漂う山梨県庁舎別館の2階と3階の一部にある。
おもに明治時代から戦前までの期間、山梨県の発展に貢献した人物や山梨県にゆかりの国内外で活躍した人物、約50人の功績などを紹介している。
創建当時の内装を復元した旧知事室や知事の応接室、広間の正庁も公開。

●山梨県庁舎別館（旧本館）
甲府城の楽屋曲輪跡に山梨県議会議事堂とともに建設され、昭和5年（1930）に竣工。
当時としては珍しい鉄筋コンクリート造りで、斬新なデザインと規模をもつことからギヤマン堂とも呼ばれた。
昭和20年の甲府空襲の際にも難を逃れ竣工当時の姿を残している。
別館2階には山梨近代人物館が設けられ一般に公開されている。