横須賀と近代化

幕末にフランス人技師・ヴェルニーの指導で建設された旧横須賀製鉄所（造船所）の対岸にあり、今でも現役のドライドックを望むことができる公園です。2001 年（平成13 年）に、ヴェルニーにちなんでフランス式庭園の様式を取り入れてリニューアル。花壇やボードウォークなどが整備され、シーズンには約2000 株のバラが咲き誇ります。目前の港にはイージス艦や潜水艦などが停泊し、ふだん目にすることのない海上自衛隊や米海軍の艦船を眺めながらの散策を楽しめるのも魅力です。園内の開明広場には、横須賀製鉄所建設を推進した小栗上野介忠順とヴェルニーの胸像もあります。

ヴェルニー公園内に建つ記念館は、日本の近代化に貢献したヴェルニーの功績と横須賀製鉄所（造船所）の歴史をたどることができる施設です。美しい石壁と急傾斜の屋根が特徴の建物は、フランスのブルターニュ地方の住宅様式を取り入れたもの。館内には国の重要文化財に指定される国内最古のスチームハンマー2基が展示されています。これは幕末期にオランダから導入され、その後、100 年以上もの間、現役で使用されていたものです。

横須賀芸術劇場から米海軍横須賀基地にかけて続く約300 ｍの商店街。かつては道路の中央をドブ川が流れており、そこを板でふさいで通行できるようにしたことが名前の由来です。明治時代には横須賀製鉄所（造船所）を見物に来る観光客相手の土産物店や旅館が並んでいました。戦後は進駐軍、その後、在日米軍向けの土産物店や飲食店が軒を連ねて大いに栄え、不思議な異国情緒漂う商店街になったのです。現在は、横須賀ならではのスカジャン専門店、海軍カレーやヨコスカネイビーバーガーなどの横須賀グルメを提供する飲食店が観光客に人気を呼んでいます。

三笠公園内に記念艦として保存されている「三笠」は、日露戦争中最大の海戦・日本海海戦で、ロシアのバルチック艦隊に大勝利した連合艦隊の旗艦です。艦内には作戦会議を行った長官公室や士官室などが当時のままに復元され、日露戦争の資料を展示しているほか、30 センチ主砲や15 センチ副砲なども間近で見学ができます。艦橋にも上ることができ、司令長官が指揮をとっていたポイントに立てば感慨もひとしおです。また、目前の公園内には連合艦隊司令長官・東郷平八郎の銅像も建っています。

猿島は、東京湾内にある唯一の自然島です。横浜スタジアムの4 倍ほどの面積の島ですが、縄文・弥生時代の土器も出土し、古くから人々の生活が営まれていた痕跡が残っています。三笠桟橋から10 分ほどの船旅で訪れることができ、バーベキュー・釣り・海水浴など四季を通してレジャーが楽しめます。幕末から明治～昭和にかけて、要塞地帯として一般人の立ち入りが制限されていたため、手付かずの自然が多く残されているのも魅力のひとつです。樹木が生い茂りツタが絡まるレンガ造りのトンネルや弾薬庫などの砲台跡は、国の史跡に指定されています。レンガの建造物は、現存する数が少ないフランス積みと、明治中期以降に造られたイギリス積みの両方を見ることができます。

海を望む中央公園に隣接し、地上5 階・地下1 階建て、自然展示室と人文展示室のエリアがあります。自然展示室には三浦半島の自然にまつわる貴重な標本や模型が展示され、この地に生息していたナウマンゾウの実物大骨格模型などは迫力があります。人文展示室では縄文時代から近代に至るまでのさまざまな歴史資料を公開。ペリー来航や横須賀製鉄所（造船所）に関する展示は必見です。総合博物館であるだけに幅広いジャンルの展示を鑑賞できるのも魅力です。入館無料。

浦賀駅
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浦賀ドック
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愛宕山公園
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東叶神社
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浦賀の渡し
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陸軍桟橋
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西叶神社
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浦賀奉行所跡地（模型展示　浦賀コミュニティセンター分館）
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燈明堂

明治32年（1899）に竣工した浦賀ドックは、箱館戦争で旧幕府軍を指揮した榎本武揚らが地元の有力者に働きかけて建設したものです。以来、1世紀以上にわたって、約1000隻にのぼる艦船を建造した住友重機械工業株式会社の旧浦賀工場の跡地にあります。ここで日本丸や海王丸をはじめ、青函連絡船なども造られました。レンガ造りのドライドックが見られるのは、国内では浦賀だけです。近くに、もうひとつのレンガ造りの川間ドックがありますが、こちらはゲートが取り払われているため海水が入り、ドックの底を見ることができません。 現在、浦賀ドックは非公開ですが、咸臨丸フェスティバルや浦賀夏祭りなどの際に一部が一般に公開されます。また、1基のみ残されているクレーンやドライドックは、浦賀生協付近からレンガ塀越しに見ることができます。

叶神社の縁起によれば、養和元年（1181）に京都神護寺の文覚上人が岩清水八幡をこの地に勧請したと伝えられています。文治2年（1186）に、源頼朝の源氏再興の願いが叶えられたことから、叶神社と改められました。石の鳥居は浦賀湾に面しており、境内には白い砂がまかれています。神社の裏山は明神山と呼ばれ、山頂には東叶神社の奥社があります。咸臨丸で太平洋横断を成し遂げた勝海舟が、航海安全を祈願し、ここで水垢離（みずごり）をした後、山頂で断食をしたと伝えられています。

港に隔てられた西浦賀と東浦賀を結ぶ渡し船は、ポンポン船の愛称で親しまれる浦賀のシンボルです。江戸時代の享保10年（1725）頃に創業したといわれ、当時は浦賀の住民が費用を提供（船賃は1軒当たり米６合づつ提供）し、共同で運営していました。現在の船は強化プラスチック製、定員12人、片道料金200円で、1日に平均90人の利用客があります。3分ほどの船旅で、海から浦賀造船所の跡地を見ることもでき、小さなクルージング気分が味わえます。この航路は「浦賀海道」と名付けられており、横須賀市の市道（2073号線）になっています。

西浦賀の鎮守で、本来は叶神社が正式名称ですが、東浦賀にも叶神社があるため、西叶神社と呼ばれています。養和元年（1181）に文覚上人が源氏の再興を祈願して、西浦賀の地に京都の石清水八幡宮を勧請したものです。文治2年（1186）、壇ノ浦の戦いで平氏が破れ、源氏の世になると、大きな願いが叶ったことにより「叶明神」の称号が与えられました。現在の社殿は天保13年（1842）に再建されたものです。社殿を取り巻くたくさんの彫刻は、後藤利兵衛義光という安房国（千葉県）の彫刻師の作品です。また、社殿の下にある銅製の大きな灯籠は、浦賀にあった遊郭から寄贈されたものです。願いが叶う「叶神社」は、パワースポットとしても人気が高く、西叶神社の勾玉を東叶神社のお守り袋に納めて身につけると、恋愛をはじめ様々な良縁に恵まれるとか。

明治24年（1891）に開園した市内で一番古い公園です。園内から浦賀湾を一望することができます。ペリー来航の際に交渉にあたった浦賀奉行所与力・中島三郎助の招魂碑を建立した際に、公園として整備されました。招魂碑に刻まれた題字は当時の外務大臣・榎本武揚によるものです。 園内には昭和35年（1960）に日米修好通商条約の締結100年を記念して立てられた、咸臨丸出航の碑もあります。咸臨丸は品川沖で錨を上げ、横浜を経由して浦賀へ。そして、この地から日本を離れたのです。

享保5年（1720）に、下田から浦賀へ移された奉行所があった場所です。奉行所の業務は船改めや海難救助などで、当時、浦賀には1日あたり50隻におよぶ船が出入りしていました。文化・文政期（1804～1830）の頃から、日本近海に外国船が出没するようになり、ここは江戸を防備するための海防の最前線でした。 奉行所が設置されてから明治維新までの約150年間に、53人の奉行が勤めています。嘉永6年（1853）のペリー来航時の浦賀奉行は、戸田氏栄と井戸弘道の2名でした。奉行所には、時代によって異なりますが、与力10人、同心50人程度が詰めていました。浦賀奉行所跡地は、堀の石垣と表門の前に架かっていた石橋の伊豆石が残っており、案内板と標識が設置されています。 なお、浦賀コミュニティセンター分館の展示室には、当時の浦賀奉行所を復元した模型があり、浦賀の郷土資料などが展示されています。

浦賀港西岸の先端に位置する燈明堂は、慶安元年（1648）に幕府の命で造られ、江戸時代初期から明治5年（1872）まで、航海の安全を守っていました。かつて、その光は房総半島まで届いたといわれます。当初は幕府により維持管理されていましたが、元禄5年（1692）から、東浦賀の干鰯問屋が維持管理しています。燈明堂のあった石垣は昭和43年（1968）に市指定史跡となり、現在の燈明堂は昭和63年（1988）に、その石垣の上に復元されたものです。 燈明堂の裏山には、文化8年（1811）に平根山台場が造られ、外国船に備えました。天保8年（1837）に来航したアメリカ商船のモリソン号に対しては、実際に砲撃が行われています。

京急久里浜駅
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ペルリ上陸記念碑道標
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くりはま花の国
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ペリー公園

久里浜駅はJR横須賀線の終着駅です。日中戦争から太平洋戦争の頃にかけて、久里浜周辺には軍事施設が次々と建設されました。そのため交通機関が必要となり、太平洋戦争の最中の昭和19年（1944）4月に、横須賀から久里浜までが延伸されました。駅舎は屋根が高く、外観は2階建てに見えますが、内部は天井が高い贅沢な造りの平屋です。

国道134号線の久里浜交差点そばに立つ、高さ111cmの小さな石塔です。明治41年（1908）に、ペリー上陸記念碑へ導くための道標として建立されました。明治時代に立てられたもので、アルファベット表記のある碑は、全国的にも珍しい存在です。

自然とのふれあいを楽しめる花をテーマに、米軍倉庫跡地に整備された公園です。栽培面積約 2万3千平方メートルの広大なポピー・コスモス園には、春はポピー、秋はコスモスが、それぞれ約100万本咲き誇り、ハーブ園、ツバキ園と、四季折々に花の開花リレーが楽しめます。ほかにもパークゴルフ場、アーチェリー、エアライフル場などのスポーツ施設（有料）もあります。

ペリー提督の浦賀来航を記念して、上陸地である久里浜に整備された公園です。園内にはペリー記念館があり、ペリー来航に関する歴史的資料（当時の絵巻物や瓦版など）やジオラマ模型などが展示されています。園内中央部にそびえる高さ8.68mのペリー上陸記念碑は市指定重要文化財で、明治34年（1901） に米友協会によって建立、碑文は初代内閣総理大臣・伊藤博文によるものです。ペリー上陸日にちなみ、毎年7月14日に近い土曜日にはペリー上陸記念式典が行われます。