春日大社

御蓋山浮雲峰遥拝所（みかさやまうきぐものみねようはいしょ）は、春日大社の本殿近くに伸びる「東回廊」の外側に設けられている遥拝所です。この遥拝所は、春日大社の「神様の山」としてこれまで約1300年に渡り深い信仰の対象となってきた「御蓋山（みかさやま）」へ向けて祈りを捧げる空間となっており、「禁足地」として、原則一般参拝者は立ち入ることが出来ない御蓋山に「最も近づける」場所となっています。

江戸時代まで神職の詰所でしたが、現在は年に2回(2月の節分、8月14日、15日)行われる春日大社のすべての燈籠に浄火をともす万燈籠神事を屋内で体感することができる場所になっています。

春日大社の摂社である若宮神社は、大宮(本社)の第三殿天児屋根命様と第四殿比売神様の御子神である天押雲根命様をお祀りしています。 平安時代後期の長承4年(1135)2月27日に創建されました。

萬葉集にゆかりの深い春日野の地に、約300種の萬葉植物を植栽する、 日本で最も古い萬葉植物園として昭和7年(1932)10月1日に開園されました。 園内には20品種、約200本もの藤を植えた藤の園があり、4月下旬から5月上旬に開花します。

春日大社には数多くの燈籠があります。 若宮神社が創建され、御本殿と若宮神社を結ぶ御間道は、重要な参道として鎌倉時代後半より、次々と石燈籠が奉納されるようになりました。現在、全国にある室町時代の灯籠の7割近くはこの御間道に立っています。

二之鳥居を入った祓戸神社の隣にある手水所です。 鹿がくわえた巻物から水が出ています。 ここで手と口を清め、祓戸神社に参拝のち、御本殿にお参りしましょう。

春日の大鳥居とも呼ばれ、玄関口である参道入口に建ち、興福寺との結界です。創建は承和3年(836)とも伝わっています。 現在のものは、寛永11年（1638）に再建されたものです。 3月の春日祭や12月の春日若宮おん祭の際には大きな榊が立てられます。

御本殿への参道の勾配が上がる神垣への入り口の結界です。創建は永暦年間(1160～61)との記録がありますが、『春日権現験記』の後白河上皇の行幸の図に二之鳥居が描かれていてさらに遡る可能性もあります。造替のたびに新しく造られていました。

春日大神様が奈良にご到着され、道中が暗いため、八代尊（やしろのみこと）が口から火を放ち道を明るくしました。 その火が時々飛んだので、聖武天皇の御代に野守を置いて守らせました。これは『日本書紀』に見える、連絡通信のための烽火(ほうか)のことです。

中門は御本殿の直前にある楼門です。 御廊は中門から左右に鳥の翼のように伸びていて、現在本殿の祭典では、神職の座る場所ですが、昔は興福寺の僧侶がお経をあげる場所でした。 その奥には四棟横一列に並ぶ国宝の御本殿があります。 御本殿は、神護景雲2年(768)11月9日に創建されました。 奈良時代から20年に一度社殿の塗り替えや、調度品を新調する式年造替が行われており、その際には檜皮屋根の葺き替えや、非常に赤の濃い本朱（ほんしゅ）のみで柱などが塗り替えられます。 また、御殿と御殿の間の極彩色（ごくさいしき）の壁面は御間塀(おあいべい)や絵馬板(えまいた)とよばれ、馬や、唐獅子(からじし)、牡丹が描かれ、日本の絵馬のルーツとされています。

南門は春日大社正面の楼門です。平安時代後期の治承3年(1179)に建てられました。平安時代は鳥居だったと言われています。 春日祭（※）の折に、勅使（ちょくし・天皇陛下のご名代）が 藤原氏以外であれば、この門より入ってお祭りを奉仕されます。 南門を入って左側には銘木「砂ずりの藤」があります。花の房が地面につくほど長かったことから、この名がつけられています。 ※春日祭…非公開につき参列は出来ません。参道からの拝観可能。

大国主命様と須勢理姫命様をお祀りしています。 この御社は御厨子のなかに御夫婦の大国様を御祀りするところから、日本唯一の夫婦大国社と称えられ、夫婦円満・縁結び・家内安全の神様として全国各地からお参りされます。 ここでは祈願を絵馬ではなく、杓子に願意を描いて奉納するしきたりがあります。 現在はピンク色のハート形絵馬や水占いも人気があります。

春日東塔(院の御塔)は参道の春日西塔の隣に平安時代後期の保延六年(1140)に鳥羽上皇の御願により創建された大きな五重塔で、周囲に門と回廊が付随する立派なものでした。

二之鳥居前から春日大社の社家町であった高畑方面に通じる道です。 馬酔木（アセビ）が多く茂り、イチイガシなどの巨樹も点在する静かな道です。 下の禰宜道を南に行くと志賀直哉の旧邸や新薬師寺があります。

水谷神社は春日大社の摂社であり、御祭神は素戔嗚命様、大己貴命(おおなむちのみこと)様、奇稲田姫命様です。 平安時代の後期の長承2年(1133)に『長承注進状』には御祭神は牛頭天王とあります。 裏手の谷に流れる聖流水谷川は、平城京に流れる川の一つで、春日山を源流としております。水谷神社の右手の広場では、中世より春日の神職によって能や狂言が奉納され、現在も毎年4月5日の鎮花祭で禰宜座狂言が奉納されています。

御祭神は金龍大神(きんりゅうおおかみ)様です。 南北朝時代の後醍醐天皇ゆかりの神社で、金龍というのは天皇の御座所の禁裏が転訛したといわれ、開発・発展の神様として篤く信仰されるほか、最近は金運・財運の神様としてもお参りされます。

紀伊神社は春日大社の摂社であり、御祭神は五十猛(いたける)命様、大屋津姫(おおやつひめ)命様、抓津姫(つまつひめ)命様です。 近世「奥の院」と称されていたこの御社の主祭神五十猛命様は素盞鳴命様の御子神で、紀伊の国へ樹木の種をもたらした樹神とされています。 万物の生気、命の根源をお守りくださる神様です。

一言主大神（ひとことぬしのおおかみ）様を祀る神社です。 元興福寺南円堂の鎮守社で、総宮神社と同じく明治維新により現在地に遷座されました。一言を深く祈念すれば願いを叶えてくださると篤く信仰されています。 祈願が成就した暁には、感謝の心を籠め鳥居を奉納するしきたりがあります。

神山春日山に鎮座する水徳の神で、中世には善女龍王を祀る高山龍王社ともいわれた式内社鳴雷（なるいかずち）神社の里宮にあたるお社です。 運気を上昇させ、富貴に導く神様と言われています。平成30年にご創建1250年を記念して、140年ぶりに再興されました。

春日大社国宝殿は、春日大社が所有する国宝352点、重要文化財971点をはじめ多くの文化財を所蔵し展示する美術館です。春日大社は、所蔵文化財の多くが平安時代に神様に奉納された宝物であり、当社にしか残っていないものがたくさんあることから、「平安の正倉院」とも称されています。これらの王朝時代の美術工芸や、日本を代表する甲冑や刀剣等武器武具などを、特別展の展示テーマに合わせ随時公開しています。